こんにちは。中小企業診断士の伊藤です。
この記事は、こんな方に読んで欲しいです。
・SWOT分析という言葉は知っているけど、実際の使い方が分からない
・今更、誰にも聞けない
SWOT分析をてっとり早く理解するためには、
イメージを簡単に掴んで、実践で経験していくのが一番効果的です。
読み終わると、「ふわっと」SWOT分析についてイメージが付きます。
最初は、それでOK!
では、さっそく説明していきますね。
SWOT分析とは
SWOT分析とは、
企業の現状を整理・把握するための分析手法です。
いわゆる「フレームワーク」の一つで、
フレームワークを一言で言うなら、
考えるためのツール(道具)だと思ってください。
そもそも、なぜ「分析」をするのか?
答えはシンプルです。
経営戦略を立てるために、分析は欠かせないから。
その中でもSWOT分析は、
最もよく使われている、代表的な分析手法のひとつです。
まずは、
「戦略を考える前にSWOT分析あり」
このくらいの認識でOKです。
始めの一歩として、SWOT分析は、
① 自社の内部の分析
② 自社の外部の分析
に分けます。ここが一つ目のポイントです。
①内部の分析とは、
強み:Strengths、弱み:Weakness
に分かれます。
イメージは「自分でコントロールできるもの」です。
強みとは
強みとは、他の会社より「うまくできていること」「選ばれる理由」です。
お客さんから見て、
「この会社にお願いしたい」と思われるポイントが強みになります。
強みの切り口はさまざまありますが、ここでは3つの強みの例を紹介します。
<強みの例>
技術の強み(仕事のやり方)=仕事の「やり方」や「上手さ」に関する強みです。
・他社にはまねしにくい技術やコツがある
・ベテランでないとできない作業を社内で行えている
・いつ作っても、品質が安定している
→「この会社は仕事がうまい」と言われる理由が、技術の強みです。
人材の強み(人の力):働いている「人」に関する強みです。
・経験豊かな人や専門知識を持つ人がいる
・長く働く人が多く、職場の雰囲気が良い
・社長や管理者が営業が得意で、顔が広い
設備・体制の強み(会社の仕組み):会社の「道具」や「動き方」に関する強みです。
・新しい機械や、特別な機械を持っている
・少ない量でも、早く対応できる
・判断が早く、柔軟に動ける
中小企業にとっては、「頼んだらすぐ動いてくれる会社」という印象は大きな強みです。
強みを見るときの大事なポイント
強みかどうか迷ったら、こう考えてみましょう。
「売上につながっているか」「お客さんから評価されているか」
この2つに当てはまれば、それは立派な強みです。
弱みとは
一方、弱みとは何か?(考え方が大切)
弱みとは、今はうまくいっていないこと、困っていることです。
「ダメなところ」ではなく、これから良くできる部分だと考えましょう。
<弱みの例>
技術の弱み=仕事のやり方に関する弱みです。
・特定の人がいないと仕事が回らない
・作業のやり方や品質、サービスの質が人によって違う
・新しい技術についていけていない
人材の弱み:よくある人に関する課題です。
・人が足りなくて、仕事を断ることがある
・教え方が決まっておらず、育ちにくい
・若い人が長く続かない
設備・体制の弱み:会社の仕組みに関する弱みです。
・古い機械が多く、壊れやすい
・作業に時間がかかりすぎている
・書類や管理が手作業で大変
弱みは、隠すものではありません。
「これから直せば、もっと良くなるポイント」「工夫や投資で変えられるところ」
こう考えることで、次に何をすべきかが見えてきます。
次に、②外部の分析として、
機会:Opportunity、脅威:Threat
に分け、情報を収集・分析・整理していきます。
イメージは「自分でコントロールできないもの」です。
内部分析と外部分析は区別して考える
内部分析(自分でコントロールできるもの)・外部分析(自分でコントロールできないもの)を実施するうえで重要なことは、
「自分でコントロールできるもの」
「自分でコントロールできないもの」を、一緒にしないこと。
これがポイントです。
つまり、SWOT分析とは:
「自社で変えられること」と「環境として自社で変えられないものを受け止めること」を分け、自社の強みを“どこでどう使うか”を決めるための考えるツールである。
と言えるでしょう。
この「強み(S)・弱み(W)・機会(O)・脅威(T)」のスペルの頭をとって、SWOT分析と呼ばれます。

要するに、内部分析も外部分析も、二つに分けますが、
「ポジティブな情報とネガティブな情報に分ける」と覚えておきましょう。
ポジティブ (^_-)-☆:(内部)強み・(外部)機会
ネガティブ ((+_+)) :(内部)弱み・(外部)脅威
SWOT分析のコツ
SWOTは「たくさん出す」より「尖らせる」ことが重要。
ありがちな失敗例は、
・強みが10個
・弱みが10個
これでは、結局、何が効果的なのか分からないことになります。
特に強みに関しては、しっかりと考察しましょう。
つまづきがちな外部分析
SWOT分析の中でも、
特につまずきやすい外部分析の「機会・チャンス(O)」について説明します。
まず、よくある残念なパターンから。
「これで終わっていませんか?」という話。
あなたの事業にとって「機会・チャンス(O)とは何ですか?」
そう聞かれて返ってくる答えが、こんな感じ。
「〇〇市場が伸びています」
……終了。
正直に言うと、
これ、2つの点から最強に残念です。
ひとつ目は、なぜ「市場」だけで終わっちゃうの?という点です。
理由はシンプルです。
外部環境=市場
この切り口しか持っていないからというのがほとんどのケースです。
でも、外部環境って本当に「市場」だけでしょうか?
・顧客の価値観の変化
・法規制や制度の動き
・技術の進化
・業界構造の変化
・社会トレンド
etc…
本当は、もっとチャンスのカケラはありそうです。
実際、雑談を含め、ヒアリングを続けると、みなさんは「こんなことがチャンスとなりそうだ」としっかり考えている方が多いです。
「もしかして、〇〇が追い風になるのでは?」
「この変化は、うちにとってチャンスでは?」
といった「先読みを立てる材料出しのきっかけ」=「切り口」を増やしていきましょう。
では、どうすればいいのか。
答えは意外とシンプルです。
ほかのフレームワークを使って、切り口を増やすこと。
たとえば、
・PEST分析
・5フォース分析
・3C分析
こうした別のフレームワークを使うことで考える切り口が増え、
「この変化は機会になりそうだ」
「ここは追い風かもしれない」
というチャンスの考察の幅が広がるのです。
外部環境分析の場合は「PEST分析」や「ファイブフォース分析」というフレームワークが一般的に有名です。
「PEST」は、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの単語の頭文字を取ったものです。
この切り口で強制的に機会(チャンス)と脅威(リスク)を考えていくというものです。
有名なフレームワークは場合に応じていくつか使えるようにしておくと効果的です。
外部環境分析の代表的なフレームワークの一例として次のものがあります。
| PEST分析 | 日本全体とか、マクロ(大きな視点)で市場を分析するための手法。「PEST」は、政治(規制や法律)(P)、経済(E)、社会(S)、技術(T)の頭文字をとったもの |
| ファイブフォース分析 | 業界内の5つのプレイヤー(新規参入、代替品、買い手、売り手、競合)の競争度合いの視点から市場を分析する手法 |
| バリューチェ―ン | ライバルの行動における価値(連鎖)の構成要素を分解し分析する手法 |
| 製品プロダクトサイクル | 市場の需要変化から製品のライフサイクル(成長や衰退)を分析する手法 |
| VRIO分析 | 競合相手の組織等の経営資源を評価し、分析していく方法 |
ここまで読んだ方へ、特別に外部環境の考察を深める“超使える思考法”を教えます
これから紹介する内容は、かなり希少性が高いです。
なぜなら、
・シンプルでありながら論理的
・でも、知っているだけで分析の質が一段階上がる
・しかも、やり方は驚くほど簡単
――そんな「普段から使える思考法」だから。
ここまで読み進めてくれた方にだけ、
外部環境を一気に深掘りできる、とっておきの方法をこっそり共有します。
以下のQ(クエスチョン)に対してA(アンサー)を考えてみましょう。
Q:なぜ、市場が伸びているのか(下がっているのか)?その原因は何だろう?
A:Q:これから、何が起こるのだろう?
A:Q:結局、当社にどういう直接的な影響があるだろう?
A:
どうでしょう?
シンプルだけど、外部分析を整理するのに、とても効果的なので覚えておくと良いですよ。
SWOT分析の活用について
SWOT分析は「最初にやるべき思考ツール」
起業するとき。
新事業を立ち上げるとき。
そして、今の事業を振り返るとき。
どんな計画策定であっても、最初に使うべきツールのひとつがSWOT分析です。
というより、「分析」そのものと言った方が分かりやすいかもしれません。
SWOT分析は、
思いつきを整理するためのものではありません。
未来に向けた判断の質を高めるための、思考の土台です。
大事なのは「書くこと」ではなく「考えること」
ここで、ひとつ強く意識してほしいことがあります。
それは、SWOT分析を「考えるツール」として使うこと。
紙やスプレッドシートに強み・弱み・機会・脅威を書き出すだけでは、意味がありません。
一番やってはいけないSWOT分析として、最悪なのは、これです。
「情報を並べて、はい終了」
これは分析ではなく「考えることの放棄」です。
なぜ、それが強みなのか?
それは本当に機会と言えるのか?
どう戦略につながるのか?
この問いがなければ、SWOT分析はただの作業になります。
SWOT分析は“未来を変えるため”にある。
本来のSWOT分析は、過去や現状を整理するためだけのものではありません。
「これからどうするか」を考えるためのツールです。
SWOT分析を「作業」から「思考」へ。
ここが分かるだけで、
計画策定の質は一気に変わります。
SWOT分析を使う場合の注意点
SWOT分析を使う場合の注意点は、しっかりと考えるツールとして活用することです。
では、考えるツールとして、活用するためにはどうしたら良いのででしょうか?
まずは、考えるための良質な素材(情報)を集めることが重要です。
効果的な方法としては、先に紹介したとおり、別のフレームワークを使って情報をもれなく収集・整理していくことです。
精度の良い情報が整理されたら、次は仮説を立ててみる。
情報を収集・整理していく作業の中で疑問や新たな考えが浮かんでくることも少なくありません。新たな疑問や考えが浮かんでくるのがSWOT分析の醍醐味なのです。
仮説思考が超重要
仮説思考と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。
でも個人的には、「仮説=推理」だと考えています。
つまり、
「きっとこうなんじゃないか?」と先を読む力のことです。
仮説を立てるという行為は、単なる思いつきではありません。
むしろ、「この仮説が正しいとしたら、何を調べればいいのか?」という次の行動を生み出すスイッチになります。
内部分析(強み・弱み)をしっかり検討する
戦略策定で一番大事なこと、見落としていませんか?
戦略策定の重要ポイントのひとつはこれです。
ここを間違えると、
どれだけ立派な戦略を掲げても、実行段階で必ずつまずきます。
~作戦を成功させるカギは「内部(強み・弱み)の把握」~
効果的に作戦を実行するために欠かせないのが、
自社の内部を正しく把握すること。
実はこれ、想像以上に難しい。
なぜなら――
一番分かっているつもりで、一番見えていないのが「自分自身」だからです。
これは事業もまったく同じです。
自社は「第三者の目」で見ないと見誤る。
内部分析で重要なのは、自社をあくまで第三者の目線で、冷静に見つめること。
ここで気をつけたいのが、
こんなフレーズ。
「うちは地域で一番おいしい(はず)」
この「(はず)」、要注意です。根拠のない主観は、戦略にとって最大のノイズになります。
お客さんは本当にそう思っているか?
競合と比べて何が優れているのか?
数字や事実で説明できるか?
ここを曖昧にしたままでは「ビジネス上の強み」から遠ざかってしまいます。
これからの事業を成功させるために、今の自分たちを正しく知ること。
その第一歩として、
内部分析を“自社を振り返るきっかけ”にしてみてください。
そこから、本当に意味のある戦略が生まれます。
ここでおすすめなのは、「敏腕刑事になったつもり」で調査すること。
ネット、書籍、業界情報、人からの聞き取り――
あらゆる手段を使って「事件の核心に影響しそうな情報」=「ビジネスに直接的な影響がある情報」を集めていきます。
SWOT分析の例
簡単な例ですが、こんな感じでSWOTの各象限の欄(S・W・O・T)を埋めていきます。

クロスSWOTへ
SWOT分析を行ったら、次ステップとして、クロスSWOTを行っていきます。
クロスSWOTとは、SWOTの各象限の欄(S・W・O・T)についてかけ算を行い、新たな行動を考えていくフレームワークです。

少なくとも、この4象限から4つの作戦が出来ることになります。下の図は参考例です。

この中でも、どこに優先順位を置いて作戦を行っていくかを決めていきます。
成功要因(CSF)の抽出
成功要因とは「これが達成出来たら成功だよね」という成功するための要因のことを指します。
CSF:クリティカルサクセスファクターと言ったり、KSF:キーサクセスファクターと言ったりします。諸説あります。
僕は、RPG好きなので、CSF派です(笑)
「これが達成出来たら成功だよね」という点では、攻略すべきラスボスイメージです(笑)
成功要因は、クロスSWOTの積極攻勢戦略、差別化戦略、改善戦略、撤退戦略から重点事項として採用したり、この4つを掛け合わせて、さらに抽象度を上げたりして抽出します。
慣れるまでは、この4つから重点事項を選んで”CSF”としても良いと思います。
効果的なSWOT分析のやり方(まとめ)
SWOT分析は、とにかく情報の精度が重要です。精度とは、具体的に言うとMECE(ミーシー:お互いに重複せず、全体に漏れがない)な状態のSWOT分析のことです。
SWOT分析の精度が売上や利益増加のCSFを生み出します。
そのためには、フレームワークをいかに駆使し、情報をつかんで整理していくかが重要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、またね。
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